同一敷地内における2以上の防火対象物
同一敷地内に管理について権原を有する者が同一の者である令別表第1に掲げる防火対象物が2以上あるときは、それらの防火対象物は、法第8条1項(防火管理者の選任等)の規定の適用については、一の防火対象物とみなす(令第2条)。
防火対象物の適用
防火対象物が次に掲げる当該防火対象物の部分で区画されているときは、その区画された部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の防火対象物とみなす(令第8条)。
- 開口部のない耐火構造(建築基準法第2条7号に規定する耐火構造をいう。以下同じ。)の床又は壁。
- 床、壁その他の建築物の部分又は建築基準法第2条9号の2 ロに規定する防火設備(防火戸その他の総務省令で定めるものに限る。)のうち、防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたもの(前号に抱えるものを除く。)
複合用途防火対象物の部分で、令別表第1の(1)~(15)の用途のいずれかに該当する用途に供されるものは、この節(消防用設備等の設置及び維持の技術上の基準で、一部除く)の規定の適用については、その管理者や階に関係なく、同一用途に供される部分を一の防火対象物とみなす(令第9条)。
特定防火対象物の地階で、地下街と一体をなすものとして消防長又は消防署長が指定したものは、スプリンクラー設備に関する基準、自動火災報知設備に関する基準、ガス漏れ火災警報設備に関する基準、非常警報器具又は非常警報設備に関する基準(それぞれ一部)の適用については、地下街の一部であるものとみなす(令第9条の2)。
消防用設備等の1棟1設置単位の原則と例外
法第17条では、防火対象物の関係者について、消防用設備等の設置・維持の作為義務を定めている。
この場合、防火対象物の単位が重要となり、法令では、防火対象物について照応用設備等を設置する上での基本単位を、建築物の「棟」としている(「消防用設備等の設置単位について」)。
但し、同じ棟であっても別の防火対象物とみなす場合があり、この例外を定めているのが、令第8条・9条・9条の2などである。
令第8条は、一の防火対象物であってもある条件を満たせば、区画された部分は別の防火対象物と見なす。この規定による区画は、第8条による規定であることから、「令8区画」と俗称されている。但し、「開口部がないこと」が厳格に適用されている。この「開口部」とは、採光、換気、通風、出入等のために設けられた出入口、窓、パイプ、階段等を指す。
令第9条は、令別表第1の(16)の複合用途防火対象物で(1)~(15)までのいずれかの用途に供されるものは、その管理者や階に関係なく、同一用途に供される部分を一の防火対象物とみなして、技術上の基準を適用するというものである。
但し、火災発生時に極めて重要な役割を果たすスプリンクラー設備、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報器、非常警報装置、避難器具及び誘導灯は、この令第9条の適用を受けることができない。