消防法令上の定義における特定防火対象物と非特定防火対象物は、消防法に基づいて火災防止対策が異なる建物や施設の分類です。以下にその違いを説明します。
1. 特定防火対象物
- 定義: 特定防火対象物とは、火災の発生や延焼の危険性が特に高く、法令で定められた重要な施設を指します。
- 例: 学校、病院、劇場、デパート、工場など、多くの人が集まる場所や危険物を扱う施設が含まれます。
- 規制: 特定防火対象物には、厳しい防火基準や消防用設備の設置義務があり、定期的な点検・検査が求められます。
2. 非特定防火対象物
- 定義: 非特定防火対象物は、火災のリスクが比較的低いと見なされる施設を指します。
- 例: 一般の住宅や小規模な店舗など、火災の危険性が低い施設が該当します。
- 規制: 非特定防火対象物には、特定防火対象物ほど厳しい基準が適用されず、消防用設備の設置義務も緩やかです。
まとめ
消防法令上の定義における特定防火対象物は、火災リスクの高い重要な施設であり、厳しい規制が適用されるのに対し、非特定防火対象物は、リスクが低い施設であり、比較的緩やかな規制が適用されます。このため、火災防止対策の重要性や内容が異なることになります。
(1)項 | イ | 劇場等 | 劇場、映画館、演芸場又は観覧場 |
ロ | 公会堂等 | 公会堂又は集会場 | |
(2)項 | イ | キャバレー | キャバレー、カフェ、ナイトクラブ その他これらに類するもの |
ロ | 遊技場 | 遊技場又はダンスホール | |
ハ | 性風俗営業店舗等 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗(ニ並びに(1)項イ、(4)項、(5)項イ及び(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供されているものを除く。) その他これに類するものとして消防法施行規則第5条第1項で定めるもの | |
ニ | カラオケ等 | カラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む。)において客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗で消防法施行規則第5条第2項で定めるもの | |
(3)項 | イ | 料理店等 | 待合、料理店その他これらに類するもの |
ロ | 飲食店 | 飲食店 | |
(4)項 | 百貨店等 | 百貨店、マーケツトその他の物品販売業を営む店舗又は展示場 | |
(5)項 | イ | 旅館等 | 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの |
ロ | 共同住宅等 | 寄宿舎、下宿又は共同住宅 | |
(6)項 | イ | 病院等 | ⑴ 次のいずれにも該当する病院(火災発生時の延焼を抑制するための消火活動を適切に実施することができる体制を有するものとして消防法施行規則第5条第3項で定めるものを除く。) (i)診療科名中に特定診療科名(内科、整形外科、リハビリテーション科その他の消防法施行規則第5条第4項で定める診療科名をいう。⑵ (i)において同じ。)を有すること。 (ii)医療法(昭和23年法律第205号)第7条第2項第4号に規定する療養病床又は同項第5号に規定する一般病床を有すること。 ⑵ 次のいずれにも該当する診療所 (i)診療科名中に特定診療科名を有すること。 (ii)4人以上の患者を入院させるための施設を有すること。 ⑶病院(⑴ に掲げるものを除く。)、患者を入院させるための施設を有する診療所(⑵ に掲げるものを除く。)又は入所施設を有する助産所 ⑷ 患者を入院させるための施設を有しない診療所又は入所施設を有しない助産所 |
ロ | 自力避難困難者入所施設等 | ⑴ 老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第1項に規定する要介護状態区分が避難が困難な状態を示すものとして消防法施行規則第5条第5項で定める区分に該当する者(以下「避難が困難な要介護者」という。)を主として入居させるものに限る。)、有料老人ホーム(避難が困難な要介護者を主として入居させるものに限る。)、介護老人保健施設、老人福祉法(昭和38年法律第133号)第5条の2第4項に規定する老人短期入所事業を行う施設、同条第5項に規定する小規模多機能型居宅介護事業を行う施設(避難が困難な要介護者を主として宿泊させるものに限る。)、同条第6項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業を行う施設その他これらに類するものとして消防法施行規則第5条第6項で定めるもの ⑵ 救護施設 ⑶ 乳児院 ⑷ 障害児入所施設 ⑸ 障害者支援施設(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第4条第1項に規定する障害者又は同条第2項に規定する障害児であつて、同条第4項に規定する障害支援区分が避難が困難な状態を示すものとして消防法施行規則第5条第7項で定める区分に該当する者(以下「避難が困難な障害者等」という。)を主として入所させるものに限る。)又は同法第5条第8項に規定する短期入所若しくは同条第15項に規定する共同生活援助を行う施設(避難が困難な障害者等を主として入所させるものに限る。ハ⑸において「短期入所等施設」という。) | |
ハ | 老人福祉、支援施設等 | ⑴ 老人デイサービスセンター、軽費老人ホーム(ロ⑴に掲げるものを除く。)、老人福祉センター、老人介護支援センター、有料老人ホーム(ロ⑴に掲げるものを除く。)、老人福祉法第5条の2第3項に規定する老人デイサービス事業を行う施設、同条第5項に規定する小規模多機能型居宅介護事業を行う施設(ロ⑴に掲げるものを除く。)その他これらに類するものとして消防法施行規則第5条第8項で定めるもの ⑵ 更生施設 ⑶ 助産施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の3第7項に規定する一時預かり事業又は同条第9項に規定する家庭的保育事業を行う施設その他これらに類するものとして消防法施行規則第5条第9項で定めるもの ⑷ 児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設又は児童福祉法第6条の2第2項に規定する児童発達支援若しくは同条第4項に規定する放課後等デイサービスを行う施設(児童発達支援センターを除く。) ⑸ 身体障害者福祉センター、障害者支援施設(ロ⑸に掲げるものを除く。)、地域活動支援センター、福祉ホーム又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第7項に規定する生活介護、同条第8項に規定する短期入所、同条第12項に規定する自立訓練、同条第13項に規定する就労移行支援、同条第14項に規定する就労継続支援若しくは同条第15項に規定する共同生活援助を行う施設(短期入所等施設を除く。) | |
ニ | 幼稚園等 | 幼稚園又は特別支援学校 | |
(7)項 | 学校等 | 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校その他これらに類するもの | |
(8)項 | 図書館等 | 図書館、博物館、美術館その他これらに類するもの | |
(9)項 | イ | 特殊浴場等 | 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するもの |
ロ | 一般浴場等 | イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場 | |
(10)項 | 駅舎等 | 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場(旅客の乗降又は待合いの用に供する建築物に限る。) | |
(11)項 | 神社等 | 神社、寺院、教会その他これらに類するもの | |
(12)項 | イ | 工場等 | 工場又は作業場 |
ロ | スタジオ等 | 映画スタジオ又はテレビスタジオ | |
(13)項 | イ | 駐車場等 | 自動車車庫又は駐車場 |
ロ | 格納庫等 | 飛行機又は回転翼航空機の格納庫 | |
(14)項 | 倉庫 | 倉庫 | |
(15)項 | 事務所等 | 前各項に該当しない事業場 | |
(16)項 | イ | 特定用途の複合 | 複合用途防火対象物のうち、その一部が(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項又は(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供されているもの |
ロ | 非特定用途の複合 | イに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物 | |
(16の2)項 | 地下街 | 地下街 | |
(16の3)項 | 準地下街 | 建築物の地階((16の2)項に掲げるものの各階を除く。)で連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたもの ((1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項又は(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。) | |
(17)項 | 文化財 | 文化財保護法(昭和25年法律第214号)の規定によつて重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡若しくは重要な文化財として指定され、又は旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和8年法律第43号)の規定によつて重要美術品として認定された建造物 | |
(18)項 | アーケード | 延長50メートル以上のアーケード |